南アフリカで聴く虹色の歌声1 ドラケンスバーグ少年合唱団

断崖が続く喜望峰、味も景観もすばらしいワイナリー、手軽に楽しめるサファリツアーなど、南アフリカ共和国(以下南ア)の観光資源は枚挙にいとまがないが、南アの魅力は自然美だけではない。様々に異なる人々が共に暮らす姿もまた、この国を特徴付ける大切な魅力のひとつだ。南アの多様さを確かめたく、2つのコンサートを訪ねた。

寄宿舎での生活は、朝6時の起床から21時半の消灯まで、スケジュールがきっちりと組み立てられている。合唱の練習に充てられる時間は、ルーティーンにおいては1日あたり2時間ほど。そのほかの時間は、一般の学校と同じく、学業に専念している。ドラケンスバーグ少年合唱団学校は、プロの声楽家や音楽家を養成する学校ではなく、あくまでも心身の育成を念頭に創立された学校だ。卒業生の進路は多岐に渡っており、必ずしも音楽の道に進むわけではなく、学校としてそれを奨励することもない。
実は、このドラケンスバーグ少年合唱団学校は、当初から合唱団を編成していたわけではない。創立時は、一般の学校生活に適応できない子どもたちが集い、寝起きをともにしながら社会性を学んでいく学校だった。合唱を始めるまでは、学業以外の時間は、乗馬を学んだり、畑を耕したりすることに充てられていた。
創立の数年後、協調性と社会性を学びつつ達成感も得られることから、同校は合唱に着目。以後、合唱に特化した寄宿舎として、その名が知られるようになっていった。
現在は、前述のように、国内国外から歌のオーディションを受けに来る少年が後を絶たない。その倍率たるや………

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