南アフリカで聴く虹色の歌声<最終回> 南アフリカの多様性が凝縮された、ケープタウン・ジャズ・フェスティバル

断崖が続く喜望峰、味も景観もすばらしいワイナリー、手軽に楽しめるサファリツアーなど、南アフリカ共和国(以下南ア)の観光資源は枚挙にいとまがないが、南アの魅力は自然美だけではない。様々に異なる人々が共に暮らす姿もまた、この国を特徴付ける大切な魅力のひとつだ。南アの多様さを確かめたく、2つのコンサートを訪ねた。連載最終回。(岩崎有一・アジアプレス)

南ア南端の都市ケープタウンで年に1度開かれる、ケープタウン・インターナショナル・ジャズフェスティバル(以下CTIJF)は、音楽祭としてはアフリカ最大の観客数を誇る催しだ。2000年に始まったこのフェスティバルでは、南ア国内だけでなく、アフリカ各地から、そして世界各地からのアーティストが集まり、音楽が奏でられている。
音楽家を目指す若者に向けたワークショップを含めると開催期間は1週間に及ぶ。コンサートは3日に渡って開催。その初日は、ケープタウン市内のグリーンマーケット・スクエアと呼ばれる広場で、メインの2日間はケープタウン・インターナショナル・コンベンション・センター(以下CTICC)で行われた。コンサート当日は、ケープタウン市内の主要な道路で規制が敷かれるため、日常的に渋滞するケープタウン中心部の道路は、この数日間は静まりかえっていた。

正直にお伝えすると、CTIJFはアフリカ中にその名が知れ渡っているほどの地名度はなく、世界中から観客が押し寄せるほどでもない。また、現地の方々がこぞって、この日を心底楽しみにしているという感じでもなかった。コンサート当日になっても、CTIJFの開催に気づいていないケープタウン在住の人々も多数いた。
アーティストの顔ぶれは、アフリカ地域とアフリカ地域外で半々の割合だ。ジャズフェスティバルと銘打つイベントだが、ポップソングもあればヒップホップもある。かなりバラエティ豊かな構成となっている。
地元民が待ち焦がれるほどでもなく、アフリカ一色でもないCTIJFだが、それでもやはり、実に興味深く、そして心地いいイベントだった。

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